CRAFT PRISM, 2018

漆は古くから土器の装飾に使われているほか、接着剤としても活用されていました。金継ぎとは、陶磁器をうるしで接着し、継ぎ目を金、銀、朱色などで飾る伝統的な修理技法です。あえて修復した部分を金で装飾して目立たせることで“景色”として楽しみ、その美しさを追求しています。

漆を用い破片をつなぎ合わせ、四角いレンズによって背景のイメージは断片化され風景を再構成します。再構築されたイメージは様々な視点から物事を見たり考えたりすることを目的としています。それは私たちが見ているものからだけでなく、対象物について知っていることから得られるさまざまな要素の選択から、レンズの上で再構築されます。

花の前に置かれたレンズはインスタレーションに新たな次元を与え、花は虫眼鏡で見たように巨大化し万華鏡のように断片化します。2つのスポットライトに照らされることで空間が暗闇に包まれ、光によってさらに花の色や形が強調されています。この作品を通して、人が風景を見てまず何を見るのか、何を感じるのか、人間が自然を見るとはどういうことか、空間の構成に興味を持ちました。

Designer : Yuko Sakamoto

Craftsman : Takaaki Yamamura

Material : レンズ, 金継ぎ (漆)

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